beach-woman-1149088_640




どんぶりをガチャンと手にとる



タレを入れる



ネギをリズム良く
シャリシャリと刻む音



麺を湯に入れた



派手な濃いオレンジ色の
Tシャツを着た店主は慣れた手つきだ




左胸には屋号




店内はお世辞にも綺麗とは言えない




店主は愛想があるわけでもなく




客も何も話してはいない





麺を網にとり2回素早く
ジャッジャッと湯切りをする



そこからさらに
スピードを上げて仕上げる


「お待ちどう」



いつもは「ラーメン500円」だけど、今日は「ねぎラーメン600円」をお願いしてみた。




ズズ、ズズ


麺とスープを啜る音


「〜本日の最高気温は40度ありました」


ニュース




それ以外の音はない。


ここのラーメンを食べに何度か来ているが、いつもこんなだ。




深夜3:30頃にカウンターは満席。



立地も良いとは言えず、最寄りの駅でさえ15分はかかる。人通りも少ない。



それでも深夜にタクシーの運ちゃんが休憩がてら路駐しても寄りたいお店。


主に40代カップル、20代の男性、おっさん、タクシーの運ちゃんが客層だが、誰も一言も話さない。


ズズ、ズズ


時計を見る、3:51



なんじゃこれ、


思わずニヤッして、


毎度、なんじゃこれ




お水はセルフ

僕は特に何も考えることもせず、
ボケーっとしていた。


ラーメンが出てきた


そこで店主が気付いて
「はいよ」とお水を出してくれた。




思い返すと店主はオーダーと

「いらっしゃい」

「お待ちどう」

「ありがとうございました」


のみ。



店内は


ズズ、ズズとテレビの音



ああ、この人たちはちゃんとラーメンを食べに来てるんだな。


「ラーメン屋があるからラーメン屋に行く」じゃなくて「ここのラーメンが好きだからラーメン屋に行く」

IMG_2896



夏夜の少し涼しくなっている夜明け前に、ネギうめぇにゃあと思いながら、ふと考えました。



indigo la End「夏夜のマジック」