こんにちは、店長です。




対面、一発目によく聞かれる。僕の飲食人生でけっこう上位に入る言葉だ。「やっぱりワインが好きなんですか?」



聞いた人は何気ない会話のつもり、こいつ愛想ねーからオレから話しかけてやるよ、ちょっと君に興味がある。

どんなつもりで聞いているのだろうか。そして僕らはどう答えていくべきなのか。



そしてなぜ、僕らは正解を探さなくてはならないのか。簡単だ。決まって聞いてきたくせに会話が続かないからである。




「やっぱりワインが好きなんですか?」

「うーん、そうですねぇ^_^」

「へえーやっぱりそうなんですねー」

「・・・・・」

「・・・・お客様もよくワイン飲まれるんですか?^^;」



ここからはこっちのお仕事の始まりである。そもそもなんだ、「やっぱり」って。飲食店でワインが置いてあるとこで働いているから「やっぱり」なのか。



「大好きです」

「この仕事ずっとやってますから」

「嫌いです」

「普段実はあまり飲まないんです」

「いやまあ普通です」

「ビールが好きです」

「色々飲みましたけど、やっぱりワインですかね」

「キッカケは神の雫でした」




ほぼ初対面の相手に、どれも冷たくぶっきらぼうで、なんか微妙だ。いろんな表情を使って何をどう言ってもこうなる。ここからはプロレスにしかならない。あれだ、あの感覚に似ている。

髪切りに行ったときに「今日お休みなんですか?」そう、きらめく愛想のない僕は「そうです」しかない。美容師さんだって思うだろう「やっぱり」と。僕もそうだ。



宇宙飛行士に「やっぱり宇宙が好きなんですか?」と壮大な質問しているのと一緒だ。地球から理論上観測不可能な領域まで光の約60倍の速度で飛んでいってしまいそうだ。



「やっぱりワインが好きなんですか?」=「ワインわかんねえからわかりやすく丁寧に教えろ、ついでに色んなの飲ませろ、ワインが美味しかったらお前の体験談も聞いてやるよ、オレの舌が美味しいって言ったらな」いつしか、自分の中でこう自動翻訳されるようになった。



考えれば考えるほど難しい質問ではないでしょうか。しかも、こちらが一瞬でも隙を見せると質問者は不安になるだろう。いきなり真面目にペラペラとそれっぽいことを話しても、素っ気ない言葉で返しても。やっぱりだめだ、どちらの回答も息が詰まりそうだ。

そして質問した時点でこうなる。この店、料理もワインも雰囲気も価格も悪くないのに、、、、、。



というか、その質問自体そんなに興味ないだろ、質問者諸君。その質問は、地雷と時限爆弾を同時に仕掛けるようなものなんだ。

僕らはその地雷を踏まぬようジリジリと歩いてきて、万がいち無事地雷を回避できたとしよう。でも次の瞬間、時間切れで爆破される運命なんだ。 
























ドッーーン!!!!!




明日ソムリエ二次試験ですね。
ご健闘をお祈り申し上げます。


あまり緊張しないでくださいね。僕は試験中に緊張と時間に焦り、テイスティング用のワインとグラスをこぼし、落とした者です。サービス実技でも、抜栓時に指を切り、けっこうな流血状態で涼しい顔して最後までやり遂げました。(内心頭真っ白)

何事も平常心とハッタリとやってきた努力がソムリエっぽくなれる秘訣です。やってきた人はお気付きかもしれませんが、結局のところ、頼れるのはやってきた「自分」だけなんですから。