こんにちは、店長です。実は今週しれっとテントウ虫ラベル出してます。これ。

えぇ、くだらないお話です。
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【2017年10月18日】
ほとんどの席が埋まり始める遅い時間、いつもの時間に男性も現れた。
入口付近のスタンディング席と、カウンターに一つ空きがある。常連客はスタンディング席に流れる傾向にあるが、今日は迷わずカウンターに向かった。
「こんばんは」
「おっす、生ちょうだい」
右手でレバーを引き、左手に持ったグラスに金色のビールが注がれ、白いクリーミーな泡で蓋をする。
「お待たせしました」
「はいよ」
ゴクゴクと一口で半分くらい飲み、一呼吸。ようやく忙しい一日が終わったみたいだ。
黒髪のナチュラルショート。健康的な小麦肌。一見すると無地のネイビースーツに見えるが、光の当たり具合で、光沢のあるストライプ柄が浮き出ている。
いつもと雰囲気が少しちがう。何か思い詰めて、寂しげな表情。
「なんか赤ちょうだい」
「どんな感じにしますか?」
「今日は任せるよ」
グラスは既に空になっている。
何を勧めようか
「今日さ、娘の誕生日なんだよね」
「…………」
何も言わずにセラーから一本のワインを取り出す。
そのボトルのラベルはキラキラしていて、テントウムシのイラストが描かれた可愛らしいデザイン。透き通った明るいルビー色のワイン。
「どうぞ」
「可愛いラベルだね」
ワインを口に含む
「飲みやすいね。美味しいよ、ありがとう」
事情は分からない
ただ女の子というイメージのワインを勧めずにはいられなかった。
男性はビールを飲んでいたときより、少し嬉しそうな表情で、じっと優しい目でボトルを眺めていた。
ワインでテントウムシは幸運を呼び込むという意味があります。ワインは味だけでなく雰囲気で飲むこともできる。
伝えようとしたが、
その必要はなさそうだ。

LUCKY TAPES - レイディ・ブルース