その日は生憎の雨。

住宅街にあるそのお店はマンションの1F奥にひっそりとある。重厚な木製扉を開けるとコンクリート打ちっぱなしの素っ気ないエントランス。

そして奥のレストランスペースに案内されると薄暗い異空間が広がる。木製の壁面パネルに間接照明があたりテーブルはスポットライトで浮かび上がっている。

まるでカップル以外を拒むかのような雰囲気だが、モダンなインテリアはこれから出て来る料理を連想させる。

ワインリストからシャトーヌフ・デュ・パプをチョイス。一般的にこのワインは果実味たっぷりでタンニンが強く、どっしりと力強いものが多い。

グルナッシュ主体で数種類ブレンドされることがほとんどだ。彼女と選んだワインは、ミネラル、酸、果実味のバランス、フィネスが素晴らしく南仏という暑い土地で造られたものとは思えない。

一流の魅力的な一皿、二人でグラスの中にある様々な香りをさがしながら、あーだこーだと言い合う。

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お腹も心も膨れる素晴らしい時間だ。

そう思えた瞬間、共有できた時間と相手は直感的に忘れてはいけないと感じる。

あれ以上の南仏ワインにはまだ出会えていない。


雨の日、小さなワインバル、メニューを眺めていると南仏ワインを見つける。

少しあの頃を思い出しながら、頼んでみた。


ブドウ