冷たい空気の中、暖かさが身に染みる季節になってくる頃。

今年もあと少しだなとぼんやりと考えはじめる。

華やかなイルミネーションが輝き、街中が明るくなる楽しい時期。一年を通じ最も多くの恋人たちでレストランが賑わうクリスマスも終わると、一気に年末年始モードに入る。

一週間でここまでガラリと雰囲気が変わる期間はないだろう。

のんびりしていられるのも今のうち、気が付けば残り二ヶ月間、あっという間だ。

去年の年末営業最終日、グラスを洗い、拭き取り、空き瓶を捨てて後片付けも大体終わった頃、シェフから一年の労いの意味を込めたシャンパンのプレゼント。

1976年【カルト ドール ブリュット】
40年物のドラピエ。9割【ピノ・ノワール】黒ブドウでつくられるシャンパーニュ。

意表をつかれ、上手く感情表現できない。

早速、針金を緩めそっとコルクを抜く。グラスに柔らかに発泡する液体を注ぐ。やや銅色を帯びた金。ドライフラワーやフルーツコンフィのニュアンスの香りが豊かに広がる。

フルートではなく、
ブルゴーニュグラスに。

自分の年齢より生きているシャンパン、緊張する。

40年目を迎えたものとは思えないような洋梨やカリンなど、フレッシュなフルーツを感じる。若々しいが、確かな熟成感、洗練された泡立ち、妖艶な雰囲気。

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「脳天突き抜けるほどの奥深い余韻」

大きな存在感で心地よく長い余韻にいつまでも浸っていられる。

そして、一年の締めくくりに極上のシャンパーニュを飲みたいなとまたぼんやり考えはじめる。

あれ以来、シャンパーニュを再定義し、喉を潤すように飲み干す飲み方や、とりあえずビールのようにグラスで注文することはなくなった。

特別な日に注文したいものに変わった瞬間。

シャンパーニュ地方は、フランス産地の最も北にあり、年間平均気温は11度、真冬になればマイナス25度にまで下がってしまう。

過酷な環境の中、栽培者達は何故畑仕事を続けているのか。

その歴史と発泡する液体に魅了された人々。

これから年齢を重ねるたびに、

シャンパンを飲む機会が増えそうだ。


ブドウ